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　 平成二十八年 皐月 （五月） の歌 　
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1日 ☆ 楽しさともの悲しさの入り交じる風吹く中の鯉のぼりたち
2日 ☆ 山肌のところどころを薄く染め山桜咲く出羽の春なり
3日   冬過ぎて春夏秋は天国の緑に染まるみちのくを行く
4日 ☆ 田んぼではかはづの声の増えきたり一塊に聞こゆる夜更け
5日   仙台まで常磐道を走り抜けただ一日で往きて戻りぬ
6日   小雨降る空の下でも色冴えて雨否定する躑躅咲きをり
7日 ☆ 里山の斜面に小さき穴を掘り苗木を植えて埋め戻したり
8日 ☆ 車輪梅の花咲き始む車輪梅は慎ましく咲く強き花なり
9日   魚介系スープに中太麺といふご当地ラーメン懐かしきかな
10日   田を渡る風は熱さを増して行き日本は東南アジアとぞなる
11日   新婚の記念の巨大キャンドルは十二年目の先が残れり
12日   この土地の水に合ふらむ車輪梅の生成色なる花の増え行く
13日   明日よりの多忙の半月を前にして川面のごとく穏やかにあらむ
14日 ☆ クローバーの白き花咲く隣には赤詰草の咲く風の朝
15日 ☆ 全開の窓吹き抜くる風を受け黄昏時の田舎道行く
16日 ☆ 夜半にかけ雨の予感の光ある黄昏時の国道を行く
17日   金遣ひしやすきやうにさてはまたしにくきやうに駅は変はるや
18日 ☆ 六甲の彼方に初夏の日は落ちて空に浮き立つテレビ塔の影
19日 ☆ 旅行けば住宅街の道端に肉厚で咲くアマリリスの花
20日   田を見れば早苗の色の点描で描きし鏡広がりてあり
21日 ☆ 夕立の通り過ぎたる跡ならむ途切れと途切れに濡れたる夜道
22日 ☆ ひむがしに十六夜月の輝ける下で二匹の牛蛙鳴く
23日   黄昏のつくばの空を眺めつつ自転車を漕ぎ家路につかむ
24日   小貝川の水面に映る新緑の一際冴ゆる頃となりたり
25日 ☆ 風を受け早苗は強くなびけるに田は空映し波も立たざり
26日 ☆ 南国の風に誘われ一輪の菖蒲は早も咲き出でにけり
27日   南国の躑躅は青き空のもと鮮やかさ増し咲きに咲きゐる
28日 ☆ 里山に梅雨の走りの雨降れば苔むす木々の昔ぞ見ゆる
29日 ☆ 山肌の木々の梢は雨を吸ひその一滴を小径に落とす
30日   この国の西南の端より北東の端に渡りて寒さに震ふ
31日 ☆ 厚岸の街と厚岸湾を包む霧の彼方にオホーツクあり
　 　 　
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