和歌ログ - 平成十六年卯月（四月）の歌

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	平成十六年卯月（四月）の歌
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1日		菜の花の黄と緑とを縫うごとく真白き蝶は二匹して舞ふ
2日		様々の鳥の声する空をよぎり雲は疾く行く戻らぬ時よ
3日	☆	道端の見る人もなき桜花しばし待ちをれ汝（な）を歌にせむ
4日		二昔前の雑誌よ我もまたかくのごとくに弾んでありしか
5日		葉桜となりかけたるを撮る人よ上野の山は花むしろなり
6日		どこやらで飼はれ鳴くらし鶯のその声まだし褒められもせず
7日		捨つらるるは仮のさだめと瀬戸際で拾ふ人待つ粗大ゴミたち
8日		繋げたき相手に限り繋がらぬインターネットよ世の徒然よ
9日	☆	行く水よ汝（な）にも禍事（まがごと）絶間なき乾ける国の風は届くや
10日		巨大なる立体駐車場の際（きは）を真白く溶かす春の光よ
11日	☆	あかねさすテールランプは国道に集まり来たりそして散り行く
12日		今しがた出で行きし猫戻り来る一声鳴けば戸は開くものと
13日	☆	人の世の季節は戻り駆け引きはよどみて時はひたすら進む
14日		生ぬるく電車の空気漂へば動物臭して春雨がくる
15日		新駅名「みらい平」といふらしく遠き未来の来年の秋
16日		雀とは死なぬものとぞ思ひをりし何処に消えしかあの枯れ草も
17日	☆	いのちとは老ひたる幹の枝先に緑いろしてほとばしるもの
18日		自転車を土手の斜面に寝かせつけ竿しならせる春の釣り人
19日	☆	現し世に映りし姿消え行くを惜しめる涙そのなみだをや
20日		この春もしやりんばいてふ木の花の何うつしてか現し世に咲く
21日		沈み行く陽はやはらかく街並みの常と変はらぬ影浮かばせり
22日		トイカーは既に玩具の役を終へただあるのみをさらにひたぶる
23日		少子化の筑波の里を泳ぎゐる鯉のぼり家は大家族なり
24日		北風が戻り来て吹く昼下がりさらに冷たき蕎麦にぬくもる
25日		白木なる蒸籠に盛れば香り立つやや太き蕎麦一人噛み締む
26日		思ふほど早くは暮れぬ春の陽も足早となる黄昏の際（きは）
27日		テレビには西で降る雨映りをりその雨が来る刻々と来る
28日	☆	天と地に空はあるなり田の面に水引かれたる朝を歩けば
29日		朝霧の八重桜けふ散り行けば花むしろ踏むよのよろずひと
30日		ハンカチも帽子の色も青空に白く浮き立つ季節となりぬ

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