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　 平成二十六年 卯月 （四月） の歌 　
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(☆印= 日記オススメ）
 　
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1日 ☆ みちのくに春は来たれり吹く風の冷たき中にその音を聞く
2日   みちのくを縦に貫く山中を横に辿れる雪の渓谷
3日   消費税増税告ぐる回覧板三日を過ぎて届く雨の夜
4日 ☆ 春嵐に少しく花の散り始め見えぬ遠くを見むとする頃
5日 ☆ 黒雲の端をこじ開け漏るる日の素直に広がる春に至らず
6日 ☆ 花冷えの中にありても花は散る桜吹雪といふ見せ場もて
7日   散る桜残るも散ると云ふなれど散りて心に残るものあり
8日 ☆ 土手腹のやや遅咲きの菜の花の最初の花の風に揺れゐる
9日   車輪梅の蕾膨らむ頃となり鼻水痒み和らぎ始む
10日 ☆ 足元にオオイヌフグリ咲く頃となりたるを今日辛うじて知る
11日   我が庭に明治の御代に来たるらしヒメオドリコソウてふ名の草よ
12日 ☆ 冷たさの消えたる風や田起こしの進む彼方に赤き陽は落つ
13日 ☆ 春の陽は夏来ぬ前に菜の花で土手を染めむと急ぎゐるらむ
14日   昭和期の面影残す仕舞た屋の彼方は超高層ビル聳ゆ
15日   雀より小さき花の紫に慎ましく咲く雀野豌豆
16日   我が宿の階段登る踊り場に小さきギャラリー現はれてをり
17日 ☆ 坂東の桜は散りて何事もなかりし如く空は広がる
18日 ☆ 潤ひといふ日本語のありがたき意味の伝はる小雨降る日よ
19日 ☆ この年の最初の水を張られたる田は春の日を映し光れり
20日 ☆ 逆らはずただ惹き込まれ眺めては時忘るなり真紅なる薔薇
21日   水張られ空映しゐる田に接し不思議の緑麦畑なり
22日   何物といふことなしに過ぎ去るはプラムワインと云ふものなりき
23日 ☆ 我が目には見えねどしかと鶯は梢の上でひたすら歌ふ
24日 ☆ 海の青空の青との境目の白く霞める紀伊の水道
25日   四国なる阿州の狸合戦の人の心に占むる大いさ
26日 ☆ 街灯の生暖かき宵の口の空気に染みておぼろなりけり
27日 ☆ 著莪の花早咲き揃ひこの我を時の移りに追ひつけと呼ぶ
28日 ☆ じいさんもばあさんも皆夕暮れの土手の道行く犬の歩調で
29日 ☆ 大手毬白き宇宙の如く咲け小さき花のまろき集合
30日 ☆ 雄々しくも物悲しくも腹の内に風くぐらせて鯉のぼり立つ
　 　 　
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