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　 平成二十五年 皐月 （五月） に詠める歌 　
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(☆印= 日記オススメ）
 　
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1日 ☆ 魂を抜かれし人もかくあるか SIM カードなきスマホを眺む
2日 ☆ 夕暮れのさざ波渡る田の面 （おも） に雲居の影の朧なりけり
3日 ☆ 行く川を渡れる風の道沿いに波紋織りなす模様浮きたり
4日 ☆ 週に二度厚着と薄着繰り返すうちに赤詰草は咲きたり
5日 ☆ 土手腹に春紫苑咲き久しきに緑いや濃く夏は立ちたり
6日   この年に土手に初めて咲きたれど日向の著莪は子供じみたり
7日   川下に向ひて波の陰影の濃きは冷たき北風ぞ吹く
8日   梅の香を立ち昇らせて大樽の初夏の風吹く下にぞ並ぶ
9日 ☆ 初夏の田に虫を啄む椋鳥は足元の影を己と知るや
10日   次々に埋まるカレンダー眺むればさも仕事する人にぞ見ゆる
11日 ☆ しつとりと雨に濡れたる坂東の目に見えぬ夏一つ深まる
12日   この年も車輪梅てふ白き花の蕾膨らむ頃とはなれり
13日 ☆ 横腹を緑に染めし山手線に乗り込みたるは十八の我
14日   日は巡り季節も巡りこの土手に再び咲きぬ薄紅葵
15日 ☆ 青空と白雲そして新緑の三色のみを映し行く川
16日 ☆ 田の面に波紋を作り降る雨の冷たくもなし鷺は佇む
17日   半世紀転がり来たる石なれば苔は産すとも余のものは付かず
18日 ☆ 鹿島なる砂浜に取り残されし貝殻の内の大いなるもの
19日 ☆ 日曜の越後路に人通りなくただへぎそばをたぐる夕暮れ
20日   坂東の小糠雨降る夜の道を旅の荷物を引きて戻りぬ
21日 ☆ 国見てふ峠よりみる福島の街に小さき灯はともりつつ
22日 ☆ 車輪梅の花の盛りの越ゆる頃季節の風のあまりに速し
23日   春紫苑の花弁あと一ミリの厚さあらば世界は別のものとなるらむ
24日   広き田は真上の青き空のみを映してあとは緑に霞む
25日 ☆ 日暮里の線路を越ゆる橋をみれば渡るは必ず年寄りなりき
26日   日向より花枯れ始め日陰なる花の盛りに咲く車輪梅
27日 ☆ 草と春紫苑の花道端に寄り添ひて咲き梅雨入り近し
28日   見渡せば青田となりて低き雲の苗の隙間に僅かに映る
29日 ☆ 早き梅雨のさほど低くもなき雲の流るる下の薄紅葵
30日 ☆ 梅雨に入りて暮れゆく土手に犬を引き引かれて通る人の絶えざり
31日   のっぺりと広き関東平野なる景色の中の茨城県庁
　
　
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