和歌ログ - 平成十六年如月（二月）の歌

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	平成十六年如月（二月）の歌
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1日	☆	初めての書き込みありてありがたくただ一文字の言霊おもふ
2日		久々の雨降りの中隣家ではなにやら人死にありたるらしも
3日		節分の朝は雨上がりとなりて猫も人恋しさ露はにす
4日	☆	薄暗き田舎蕎麦屋の炉の上の額縁じみた窓の青空
5日		いつになくインフルエンザといふものの重く思はれ娘（こ）は休みをり
6日	☆	鼻先と指先を刺す木枯らしに背で戸惑へる一筋の汗
7日		田仕事の始まりたるらし枯野色が黒土となり春雨を待つ
8日		遅霜は朝日に舐めらるるごと消へてトラクターの音低く響けり
9日		境目を際立たせをり日陰には枯草の上霜の残りて
10日		モーニングコーヒーを飲む人の顔あと三十分の自己の内面
11日		街角にぽつりぽつりと日の丸の立ちて時折風になびけり
12日		相模路を西に向かひてまどろめば富士もおぼろにはや過ぎ行きぬ
13日	☆	キーボード打つ膝に猫飛び乗りてわがまま放題に吾を癒すなり
14日		去年（こぞ）はついぞ吹かざりし春一番のもとにいつしか咲ける小花よ
15日	☆	買ひ立てのデジカメ画面いつの間にか妻が動画で微笑みをれり
16日	☆	風いまだ冷たく吹けど川面（かはつら）に「光の春」の輝くを見る
17日		有明の海は霞みて人の世のせはしきさまを覆ひ動かず
18日	☆	北風はいかに吹けども菜の花にいささか黄味のさしにけるかも
19日		ウィンドウ全開にして走りけりラジオの歌に風音のせて
20日		人影のなき地下鉄の通路には十七歳の我の気配す
21日		高速道駆け抜け家路辿る間におぼろの春の日は沈みたり
22日	☆	見上ぐれば冬の青きにあらずして白きものなり春の空とは
23日		綿雲の毛羽立てるより北風の激しきを知る特急の窓
24日		大阪を朝方に発ち京都にも寄りたきを抑へはや富士を見る
25日	☆	ゆつたりとスケッチをする人のそばせはしさ悔ひてシャッターを押す
26日		ふきのとういつしか育ちすぎてあり惣菜にとは思へぬほどに
27日		閉鎖せる銀行はあの白黒の映画のごとくもの言はずあり
28日		湾岸に立てる麒麟か駝鳥とも見ゆれど鶴には見へぬクレーン
29日		一晩をペットボトルのお茶のみで過ごすホテルの方丈の部屋

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