和歌ログ - 平成十六年睦月（一月）の歌

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	平成十六年睦月（一月）の歌
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睦月二十二日は「和歌ログサイト独立記念日」
1日		猿は観るじっと観てゐる徒（いたづら）にあらずや遠きそのまなざしは
2日		何事もなく元日は過ぎしかど残る三百六十五日
3日	☆	走り抜きたすき渡せる若者の抱き迎へらる早鐘の胸
4日		初仕事終へて眺むる刈り田より鷺舞ひ立てり晴れ渡る空
5日		やうやうに年明けの世は始まりぬ動脈に血の流るるごとく
6日		知らぬ間によろずの坂を越へにけりこの別宅を覗きたる人
7日	☆	松明くる今日粗大ごみ収集日惜しまぬこともなく捨つるあり
8日		世の中で最もぬくき居処と猫は動かず風呂蓋の上
9日		まばたきもせぬ間に景色変はりけり交通事故を目の当たりにす
10日		一本の電話の度に一日のスケジュール欄疾く埋まりゆく日々
11日		小正月過ぎて冴へゆく青空に雪を隠して筑波嶺は立つ
12日		軒先の給湯器今朝凍てつきぬ冬はいよいよしみ来たるらし
13日		ひよどりの鳴き騒ぐ朝雪ならぬ雨となりしの嬉しかるらむ
14日		霜さへも降ろさぬ風の吹く朝（あした）雲は何処よりちぎれ来るらむ
15日		車窓より眺むる富士のいと長き裾野の先の尾州に向かふ
16日	☆	人々の幸祈られる大君の真幸（まさき）くませと祈るわが幸
17日		名古屋では明方に舞ひ箱根でも降り始めし雪ひたひたと来る
18日	☆	霜よりも淡く積もれる雪なれば彼誰（かはたれ）の間に踏みて歩かん
19日	☆	パソコンに向かう膝にてまろくなる猫の寝息に指もまどろむ
20日		朝風呂を出て瞑想に入りたれば膝の先にて猫待ちをれり
21日		赤信号車の下に潜り込める千鳥の無事をミラーにて知る
22日		一冬に一度あるかの寒波てふ帰郷に合わせ吾を迎ふるか
23日	☆	吹雪こそわが懐かしき故郷の冬の証ぞ頬染め歩む
24日	☆	小雪舞ひ太鼓の響く空き腹を地酒と寒鱈汁で満たせり
25日		病床の母の天女の微笑みは百の言葉に勝る心地す
26日		小雪舞ふ庄内を出て坂東の日々の暮らしはまた始まりぬ
27日		ハンドルは初心者マークの娘（こ）が握り吾は助手席で居眠りもせず
28日		鳥といひパソコンといひ眼に見へぬウィルスてふものはびこりをれり
29日		燃えるごみ袋の形それぞれに朝日の中で回収を待つ
30日		庭先の霜の見る間に消へ行けば何処で鳴くか雄猫の声
31日		パソコンに向かふ身は早馴染みけり肩凝りドライアイてふものに

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