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平成十五年 師走 （十二月） の歌
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平成十五年師走二日に和歌ログは始まりました。
1日
（和歌ログ以前）
2日
三日降る雨の小路の濡れ落ち葉 掃きためらひて彩 (いろ) 留めをり
3日
朝焼けになりきれぬ雲の絶間（たへま）には人肌のごと挿色（さしいろ）ありき
4日
☆
原稿を夜更けのオフィスで待つ君にスタバの卓でメール送りぬ
5日
回線の中継局のダウンして鬼界が島の俊寛もかくや
6日
雪おろしと呼ばるる雷 古里に今宵鳴るらし空の低さよ
7日
☆
葉を落とし只立ちて在り銀杏 (いちやう) の木 naked （ネイキッド）てふ潔さもて
8日
かはたれの遠き県道ひた走るディーゼルの音けふが始まる
9日
☆
アポイントせる人の母危篤とて我も祈らむ打算消しつつ
10日
☆
剪定の南天の小枝 実赤きを拾ひて愛づる職人ありき
11日
道を掘り埋め直しをり 冬空の下で迂回の車列は続く
12日
吊り広告新聞雑誌に見入る人ケータイ打つ人眠りゐる人
13日
錠剤を今朝の三粒で飲み終へり 鳥の声満つ透明の瓶
14日
冬晴れの屋上駐車場入り日差し 茜の地平にシルエットの富士
15日
繋がりを認識できぬパソコンに振り回されて一夜は開けぬ
16日
コンビニのビニィル袋 風に舞ふ県道の空 雲ちぎれ行く
17日
☆
還暦よりさらに三回りせる干支の冬にいきしかわが長老よ
18日
霜らしき霜てふものを見初めしは筑波の里に移れる歳か
19日
☆
夜明け前寝袋より出でハンドルを握れば別の車のごとし
20日
天気図に雪の印の多き朝 富士と筑波嶺二つ望めり
21日
冷たき風入り来て猫の通りたるベランダの戸の隙間閉じたり
22日
☆
激動の暮れの日本の小学生 いつものごとく終業式へ
23日
☆
人生もかくぞありたき 年の瀬に捨てて惜しまず浮世の諸々
24日
低き陽の昇りて西に沈む頃 街を覆ふらむイブの灯
25日
賛美歌に始まりやがて世俗に移りゆく降誕祭の米軍放送
26日
うららかに晴るれば想ふ故郷は いかばかりにぞ雪の舞ふらむ
27日
☆
雪の庭 犬小屋今は虚ろにて跳びつき来るものなきぞ悲しき
28日
雪の夜の朝（あした）は晴れと言はれをり 三日吹雪（ふ）くこと知らぬ仕合せ
29日
渋滞を抜ける間際の事故現場 急がずさらに止まらず見入る
30日
さりげなく世に初めての試みを我が人生で初めて始む
31日
☆
ふるびたる古語辞典の裏表紙には義弟の名あり几帳面の字
この月の 2日から、Wakalog を始めました。
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