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　 平成三十一年 弥生 （三月） の歌 　
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1日 ☆ 友人の告別式より帰り来て見上ぐる空の雲の切れ間よ
2日   梅干しの小さきパックの三個食べ残り四個となれる今宵よ
3日 ☆ 川向こう県道を行き戻り来る暴走族のエンジン音響く
4日   灰色の雲に覆はれ三日過ぎ明日は日差しの戻りくるらし
5日 ☆ 川向かう市営グラウンドの照明の明るく光る季節となりぬ
6日   楊枝ほどの串に三つずつ刺してある日本一のきびだんごなり
7日 ☆ 我が庭の遅咲きの梅一輪のそぼ降る雨に濡れて咲きたり
8日   杉花粉舞へば涙と鼻水の薬の処方この年も受く
9日 ☆ 西空の糸のやうなる三日月の次第に低く沈みゆくかも
10日   雨越して土佐より戻る三日後はさらに咲くらむ遅咲きの梅
11日 ☆ 大雨の関東を発ち一飛びに南国土佐に着けば青空
12日   春風の渡れる土佐の城下より眺める空と 「リョーマの休日」
13日   土佐の地のさつまいもより作りたるけんぴてふ菓子つまみゐるなり
14日   午後六時過ぎて県道の坂道を下れば西の空まだ明し
15日 ☆ この春の梅の咲きぶり豊かなり冷たき風の吹くといへども
16日 ☆ 近寄りて写真に撮ればそれぞれの薫りに気付く梅の花かな
17日 ☆ 馴染みたる筑波の山を裏手より眺めて別の趣を知る
18日 ☆ 日暮れたる空の彼方を羽田へと行く飛行機の音ぞ響ける
19日 ☆ 春風をただかきわけて磐城との境まで行き戻りたるなり
20日   この夜のビジネスホテルのバスタブは行水ほどの小ささなりき
21日 ☆ 昼を過ぎ潮目の変はる波の立つ大村湾の橋を越えたり
22日 ☆ 長崎の桜はついに咲き始め今日は三分の咲きとなりけり
23日 ☆ 一日で三分咲きより七分まで咲き進みたる南の桜
24日 ☆ 福岡の城の名残の石垣の下に桜は咲き誇りゐき
25日   六日ぶりのつくばの里は花の影見えず冷たき風の吹きゐる
26日   どんたくの街を練り行く行列に思ひを馳せて食ふ通りもん
27日   午後五時を過ぎて空に明るさ残れども風の冷たき三月下旬
28日   奈良に発つ前夜も寒の戻りにて冷たき風の吹き下ろす空
29日 ☆ 五分咲きの吉野桜の木の下をリュック担ぎて登りきたれり
30日 ☆ 吉野より戻りて京の都では少しく春の心地するなり
31日   奈良京都巡りて戻り来たれるは三月三十一日なりき
　
　
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