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平成三十年 霜月 （十一月） の歌
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(☆印= 日記オススメ）
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1日
☆
筑波嶺の南西の空白雲に覆はれ太平洋は霞めり
2日
夕暮れの道より望む筑波嶺のピークに昨日我はありたり
3日
舌先に僅かな刺激感じつつ酸味の強きヨーグルトすする
4日
☆
湿りたる杉の木肌に走る皸を修復せるが如く匍ふ蔓
5日
☆
ふと見れば既に日暮れの時なりき白雲未だ見分けつけども
6日
水量を一気に増して流れゐる川の向こうに霞む家々
7日
絞り染め思はする雲漂へど筑波の嶺は隠れざりけり
8日
四十年継ぎ足し育て今日に至る天然酵母のパンよ
9日
長く伸びそして流れて消え去るは県道を行く車の灯かり
10日
エルニーニョ発生せりと伝へられ夜空に白き雲ぞ流るる
11日
午後六時牛久沼には街の灯とブレーキランプの列が映り込む
12日
猛暑より一瞬の間に変はりたる心持ちする冬の気配よ
13日
ふと窓を振り返り見る午後五時に枯れ草色も緑も見えず
14日
一月と半分余り残したる平成三十年のコーヒー
15日
冬用の上着をまとひ行く人の傍らで椿蕾付けたり
16日
木枯らしの夜空の元でナイターの草野球する人のあるらし
17日
寒空の郵便受けに次々に喪中欠礼葉書の届く
18日
朝焼けの空の高きを悠々と鷲の如くに鷺が飛び行く
19日
白樺の幹の色のみ白樺で紅葉の色紅葉たり得ず
20日
雲間より射し来る光明らかに傾きて日の短きを知る
21日
今宵より冷たき雨になるといふいよいよ冬にさしかかりけり
22日
振り向けば冴え冴えとせる地平より冷たき色の望月昇る
23日
家中のカーテンを付け替へたれば冬とはむしろ暖かきとぞ知る
24日
ことさらに日暮れ早きを思ひ知るみちのくに雪降れるこの頃
25日
二羽の蝶寄り添ふごとく舞ひ飛ぶは小春日和の森の端の道
26日
大いなる熊手の飾り下げられて上野の駅の人は足早
27日
隙間なく枯れ草色に染まりたる土手の紅葉はまだ散りもせず
28日
振り向けば早き日暮れの県道を辿る車のライトが滲む
29日
ストライプセーターを着てクッションの暖かさより離れぬ小犬
30日
この冬は薄の穂さえなかなかに枯れず日差しの下で佇む
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