和歌ログ - 平成三十神無月（十月）の歌

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	平成三十年神無月（十月）の歌
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1日	☆	川幅を普段の倍にまで拡げ野分は夜明け前に去りたり
2日	☆	南面の窓の網戸を這ひ廻る椿象の腹に見とれてをりき
3日	☆	西空に夕焼け雲の輝きて小貝の流れ紅く染めたり
4日	☆	昨日の空を染めたる夕焼けは今日の小雨を止める能はず
5日		予報では一日降らぬはずなりき雨に濡れたる路面の光る
6日		くつきりと浮かびゐたりし筑波嶺も瞬くうちに雲に覆はる
7日		時ならぬ暑さ戻りし日曜も日暮れて秋の夜長となりぬ
8日		天候は行きつ戻りつ気がつけば秋の深まる足取りならむ
9日	☆	突然の小雨の後の青空はやや重たげに綿雲が浮く
10日	☆	峠より見る谷筋に僅かにも始まりゐるか紅葉の秋
11日	☆	みちのくの港の空に雲厚く垂れ込めたれど雨は落ち来ず
12日		斑色の台湾杜鵑といふ花の蜜吸ふ蜂の飛び来る
13日		風になぎ倒さるることもなく立つコスモスのそよ風に揺る
14日		暗き雲途切るることもなき空に肌寒きまで風渡りゐる
15日		ならまちの極楽坊といふ寺の秋の日差しに照らされてをり
16日	☆	秋風のさほど冷たくなき夜の小雨に煙る百万都市よ
17日	☆	田舎道最終バスの直前のライトの中でただ暗きのみ
18日		県道を走る車の照明の糸引く如く流れゐる宵
19日		山の端の風の音さへ聞こえ来ぬ温泉ホテル寒くなきなり
20日	☆	山里の青空長く続かざり雨も長くは続かざれども
21日		八ヶ岳連峰に立つ権現といふ名の山の秋の日に照る
22日		国道の彼方に秋の日は沈み信号の色滲み初めたり
23日	☆	まだらなる黒雲越しに昇り来る望月の縁滲みゐるなり
24日		望月と見まがふまでの真ん丸の月を立待月といふらし
25日	☆	長月の短き秋の空に浮く連夜の丸き月を見上げむ
26日	☆	雲陰に居待月てふ名の月の潜みゐてほの明かりのみ見ゆ
27日		夜半より降り始めたる雨の止み日の暮れたるも月は見えざり
28日	☆	電線は見渡す限り留まりゐる烏の影に埋もれたるなり
29日		暮れて行く空には星が見え始め地には街の灯ともり始めき
30日	☆	秋空を横切りて飛ぶ旅客機の頼もしくさえ見ゆる輝き
31日		夏過ぎてきちんと秋は来たるらし薄の白き穂もほころびて

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