和歌ログ - 平成三十年長月（九月）の歌

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	平成三十年長月（九月）の歌
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1日	☆	街路樹の葉の色変はり始めたりさしもの夏も終はりゐるらし
2日		秋雨の降り注ぎ来て板東のさしもの熱も冷やされにけり
3日		野分より風流れ込み板東にわけのわからぬ湿り気のあり
4日	☆	何処より千切れ来たるか横丁の空を横切る雲の速さよ
5日		海鮮丼食して今日の九時間の陸路の移動終はりたりけり
6日		列島を吹き渡る風去りたれば北の大地をなゐの揺るがす
7日	☆	ひむがしの雲居を染むる朝焼けに禍やり過ごす祈りささげむ
8日		行く夏を惜しむことなき夕暮れの風にやうやく涼しさをみる
9日	☆	湿り気を逃さぬやうに覆ひたる雲のそぞろに空を漂ふ
10日	☆	日暮れても去らぬ暑さにエアコンのスイッチを切る手が動かざり
11日		筋雲の波形に浮く青空に涼しき風の吹くぞ嬉しき
12日	☆	気がつけばこの地に住みて四十度目の稲刈り進む田にてありけり
13日	☆	久しくも忘れてゐたる肌寒き夕べの風の渡る川岸
14日		薄紅き木槿は今日も秋風の渡る小川の岸に咲くなり
15日		猫じゃらし揺らす涼しき風はまた藪蚊にさへも嬉しきものらし
16日	☆	舞ひ降りし白鷺が三歩近付けば青鷺は五歩遠ざかりたり
17日		エアコンのリモコンになど指一本触れたくもなき秋の日暮れよ
18日	☆	名を呼べば家の端から端までも疾く走り来てお座りの犬
19日		暑き日のやや傾けばこの年の時節巡りて咲く彼岸花
20日	☆	花咲かすこと思ひ出し次々に涼しき風に開く木槿よ
21日	☆	本格的一歩手前の雨の降る暗き空の日今暮れむとす
22日	☆	雲量は日の暮るるまで減り続けふと見上ぐれば小望月照る
23日	☆	自転車で汗もかかずに渡りたり秋の彼岸の静かなる川
24日	☆	中秋の名月なれば黒雲も切れて夜空の片隅に寄る
25日	☆	雨降りてそして止めども虫たちの鳴き通す声常に変はらず
26日		川土手を越えて吹き来る秋風の彼岸過ぎたる肌寒さなり
27日	☆	小雨降る刈田に降りて白鷺はあさるともなく落ち穂をあさる
28日	☆	玄関のたたきの色に溶け込めど飛蝗は己が陰に気付かず
29日		またしても非常に強き台風の道筋に我が列島はあり
30日		台風の近づき来たる首都圏の人影もなき駅前に立つ

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