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　 平成二十九年 文月 （七月） の歌　
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(☆印= 日記オススメ）
 　
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1日   中央線ホリデー快速の窓の外梅雨の雲のみ垂れ込むる見ゆ
2日 ☆ 富士山の全貌見ゆる手前にはジェットコースターの軌道のみあり
3日   見覚えのある駅とそれほど変わらざる昭和十年の取手の駅よ
4日 ☆ さまざまの色と形で梅雨空の下を飾るや百日草は
5日 ☆ 野分去り二度の夕立過ぎにけり雨雲はまだ控へをれども
6日 ☆ 高架線のコンクリートの橋脚を梅雨の晴れ間の入り日が染める
7日   消え残る飛行機雲の右側に既に現はる十三夜月
8日☆ 老眼の目にはほとんど望月に見え小望月登りてありぬ
9日☆ 夜更けには自動販売機ただ光り郵便ポストはただ人を待つ
10日  濃き影を地に落とす日の彼方より吹き来る風のただ熱きかな
11日  かくまでに世界の色ぞ美しき霞の取れぬ視界にも見ゆ
12日☆ 黒光りするが如くに雲の覆ふ北の地平に豪雨降るらむ
13日☆ 西日受け輝く地平彩りて流るる雲の錦を眺む
14日☆ 階段の踊り場の窓の網戸には蟷螂のただ獲物待ちゐる
15日☆ 川面には風渡るらしその風の土手の上にも吹き来るを待つ
16日  夕立の止みたる空はただ青し祇園祭のすぐ隣の地
17日☆ じりじりと夏の日の照る春日野の日陰を全て鹿は知るなり
18日  通り雨降り止まぬうちひむがしの空の高きに虹の出でたり
19日☆ 板東の空はいつもと変はらねど梅雨明けたりとニュースではいふ
20日☆ 湯気の立つ如くに揺るる西空に梅雨開け二日の日は落ちて行く
21日☆ 暑き日の駅前広場そこここの木陰を伝ひ人は行き過ぐ
22日  そうめんをすすりて暑き日を過ごしスナック菓子は減らず残れり
23日☆ この雲の北に行くほど分厚さの増すらむ今日の変はらぬ暑さ
24日☆ 曇り空水辺の道の灯火の遠く光りて日はまだ暮れず
25日  七月の野に紫に咲く花のうちに桔梗は見事なりけり
26日☆ 明け方の雨止みたれば様々の蝉の声する高き梢よ
27日  近頃の悪しきニュースを束にして明朝早く捨ててしまはん
28日  風渡る深夜営業スーパーのコイン精米の音響きをり
29日☆ 空梅雨の明けて自然は帳尻を合わすがごとく雲の広がる
30日☆ まだ青き穂の付き始めたる稲の頭垂るるに至らざるなり
31日☆ 飲む水と吹き出す汗の間には何の隙間もなき昼下がり
　 　 　
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