和歌ログ - 平成十九年霜月（十一月）の歌

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	平成十九年霜月（十一月）の歌
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1日		南より雨雲迫り北寄りに青味残りて広き秋空
2日	☆	妻を亡くし灯火のなき玄関に着くは侘しと漏らす人あり
3日	☆	川べりの風待草の白き穂と同じき風を我が頬も受く
4日	☆	坂東の刈田に落つる雲影の縁は静かに移り行くなり
5日	☆	籾を焼く煙は風に流されて空の高きに昇らざりけり
6日	☆	トラックの荷室の屋根の銀色の動いてはまた停まる首都高
7日		外出の予定なき日の窓の外は雲のかけらも見えぬ青空
8日	☆	筑波の地に二昔半住む我はただ移り行く街並みを見る
9日		霜月の「平年並み」を寒々と感ずる今朝の駅までの道
10日	☆	冬てふは「増ゆ」とこそ聞け豊かなるもののあらずや目には見えねど
11日	☆	昼前の雨乾かざる銀色の電車はまたも時雨に光る
12日	☆	筑波嶺に冷たき風の寄する朝富士の高嶺の雪は輝く
13日	☆	立冬を過ぎし朝日の低ければさらに光れる青竹の肌
14日	☆	晴れ渡る冬空かけて庄内の重黒き空偲ばるるなり
15日		東京の銀杏は青きままにして小春日和は今日までと言ふ
16日	☆	坂東に三十七年住む我は冬晴れの空に未だ馴染まず
17日	☆	常陸野のフロントガラスに降る露の早凍てつきて霜となりたり
18日		旅路より間近に仰ぐ富士の嶺の雪は僅かに頂を染む
19日	☆	冬晴れの真青の空に秋桜の今年最後の花揺れゐたり
20日	☆	東京の銀杏並木は冬空の下で待ちゐる黄に染まる日を
21日	☆	朝霧のなほ漂へるひむがしを茜に染めて冬の日は出づ
22日		輪郭の際立ちてあり真青なる冬空に立つ新しきビル
23日	☆	南天の赤き実光る日溜まりに人の憂ひのなどて残らむ
24日	☆	家々の影長く伸びそを映す懐かしき土手は消えて行くなり
25日	☆	家々のほのあかき灯を地に残し寒月は今昇り行くなり
26日	☆	天にある如く恵みの地にもあれとクリスマスツリーに灯はともりたり
27日		東京の銀杏の僅か色付くは遅きとも見ゆ早きとも見ゆ
28日	☆	冬空に今を盛りともみぢ葉の暗きと見ゆるまでの紅
29日	☆	ウェブカメラの画像をみれば遥かなる蒼天に立つ白き鳥海
30日		曇天の去れば狐の嫁入りに濡るるあまたのビニールの傘

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