和歌ログ - 平成十九年卯月（四月）の歌

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	平成十九年卯月（四月）の歌
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1日		はるばるとアジアの奥の砂漠より飛びに飛びたり山隠す砂
2日	☆	見上ぐれば諸行無常の花曇り後ろ姿の我を誰ぞ見る
3日		天よりも地の賑わいの勝り行く頃とはなりぬああ花筵
4日	☆	雷とみぞれに暮れて銀色の水銀灯に浮かぶ夜桜
5日		時ならぬ霙の後に日の射せば躑躅の花の芽吹きかけたり
6日	☆	黄昏の小道に咲ける著莪の花明くれば消ゆる露の如くに
7日	☆	この秋に消ゆる土手とて菜の花は力振り絞り咲いてゐるなり
8日		陰干しのダウンパーカを格好の羽毛布団として猫は寝る
9日	☆	何処にて散れる桜か菜の花の映る水面を流れ行きたり
10日	☆	菜の花は風に吹かれて行く水に盛りのいのち映しゐるなり
11日	☆	空は如何にかき曇りても歩道には躑躅の色の鮮やかに増ゆ
12日	☆	友とまた明日会ふまでの永遠をいかに耐ふるや高校生は
13日	☆	今年限りと咲き乱れゐる菜の花のその心馳せ我は忘れじ
14日		様々の色と音にてこの春を染めに染めゐる命を聞かむ
15日	☆	黄昏に枝垂れ桜の咲き初めてことさら赤し固き蕾は
16日	☆	福島で桜前線追ひ抜けば頬に冷たき風の米沢
17日		曇天の影に僅かの赤味挿し静かに咲きぬローズマリーは
18日		選挙カーの連呼の響く空の下色染め分けて躑躅咲きゐる
19日	☆	ふと見れば妖しきまでに咲く著莪をこの春までは見過ごしゐたり
20日	☆	春風に萌ゆる若葉を透かし見る川は豊けく広がりてあり
21日		播磨なる夕暮れ遅き海つ方遥かに望む明石大橋
22日	☆	千早振る神代に渡る浮橋の朧なりけり瀬戸内の春
23日	☆	稀人を待ちて磨きし軒先につばくろはこの春も来たれり
24日	☆	若草の色で川面に映れるを欺きてまで緑深まる
25日		電脳の街の歩道に咲き誇る躑躅を愛でる人の少なし
26日	☆	久方の光の野辺に溢れゐる花鳥虫のいのちの気配
27日		黄昏の屋根屋根にテレビアンテナはしめやかに立つ影絵と化して
28日	☆	カーラジオのノイズは絶え間なくつなぐ積乱雲と地を行く我を
29日	☆	田の水に天の蒼きの曇りなく映りて今日の地は鎮まれり
30日		連休といふものの身に覚えなき暮らしとなりて夏日を送る

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