和歌ログ - 平成十八年葉月（八月）の歌

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	平成十八年葉月（八月）の歌
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葉月二十七日、和歌ログ一千首目を達成
1日		この午後も日射しの戻らざりければまだ見ぬ琉球の空をし思ふ
2日	☆	梅雨過ぎて縺れ絡まる色糸の如く紫陽花枯れ残りをり
3日	☆	蝉時雨降りしきるともその奥で鳴く鶯の声ぞ際立つ
4日	☆	せせらぎと木陰のありて余のものをなどて求めん夏の日高し
5日	☆	真白なる夏の日射しに花魁の名をおふ花は色差しゐたり
6日		白猫の病を癒す夏の日に寝そべりて顔撫でる黒猫
7日	☆	見上ぐれば眼の奥白く息吸へば胸の奥熱し明日は立秋
8日		立秋の稲穂の先の微かにも黄味帯び始め野分近づく
9日	☆	夕刻を待たず野分の雨止めばここぞとばかり蝉は鳴くなり
10日	☆	まつすぐの線は定規で引けるごと真つ直ぐ映る夏の日の影
11日	☆	遅刻せし子のごとく我は歩きたり琉球の空青々き下
12日	☆	ハブも休む暑き一日ガジュマルの緑と海の青に染まりき
13日	☆	思ひ出もなき土地なれど今まさに帰り着きたる心地こそすれ
14日		敷島のヤマトの空は行く雲の白きを宿し和らぎてあり
15日	☆	稲の穂の既に頭を垂れをればふと思ひ立ち蕎麦をたぐりぬ
16日	☆	部屋の奥によしずの影の届き来ていつより鳴くかつくつくほふし
17日	☆	通り雨過ぎて早くも蝉時雨さらに湧き立つ夕立の雲
18日		我がものと言ふ人もなくミニトマト山菜の如く愛でられてあり
19日	☆	湧く雲の白きよりなほ白銀の如く照る葉の影深くして
20日		カーナビの中の愛車はわずかにも実際よりも後方にあり
21日	☆	蝉時雨聞き飽きてこそ夕立も雷もなく日は暮るるなれ
22日		盆過ぎの銀杏の根元哀れにも鰐の木乃伊の如き根の見ゆ
23日	☆	黒雲の晴れて木槿の花越しにいや高く浮く鱗雲見ゆ
24日	☆	朝まだき猫ならぬ身も輝ける狗尾草（エノコログサ）の穂に戯れゐたし
25日	☆	熟さざるうちに落ちたる柿の実の虫養ひて赤み帯びたり
26日		曇り空ただ眺めゐし帰り道ヘッドライトに稲穂は光る
27日	☆	歌詠みを続け千日目の朝は何事もなく明けにけるかも
28日	☆	一輪の命は夕べ尽きるとも木槿はひたに咲き通すなり
29日		一面がガラス張りなるビルの内に東京湾の輝き届く
30日		日暮れてのホームを渡る風もなく定めし暑き一日（ひとひ）なりけむ
31日	☆	駅を出でて正面の空群青の最も深き色にてありけり

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