和歌ログ - 平成十七年卯月（四月）の歌

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	平成十七年卯月（四月）の歌
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14日に和歌ログ 500首目を達成
1日	☆	東京を過ぎたる桜前線に促されしか遅咲きの梅
2日		春先の花壇はかはたれ時を過ぎ花咲くまでのイルミネーション
3日		のどけきの裏に潜みし春嵐の日の暮れてより来つつあるらし
4日	☆	春嵐の残せし雨の冷たきに桜に先立ち梅の花散る
5日	☆	スクーターは春風を切り進み行くざらつく指に土の香のして
6日	☆	土手沿いの木の細き枝に生え来たる葉は緑なる霞とも見ゆ
7日		ガラス張りのプラットフォームの屋根越しに覗き込みゐる別世界のビル
8日	☆	見る人と見らるる花を結べるは糸より細き月明かりなり
9日	☆	振り向けば水面に波紋残りをり魚の跳ねるを見しや菜の花
10日		日の暮れしパーキングロットを照らしゐるアメリカ生まれの白き光よ
11日		花散らす冷たき雨になりにけり早き帰宅で家人揃ひぬ
12日	☆	車庫入れをする間も花は散り続け一枚（ひとひら）のみの舞ひ来たりけり
13日	☆	草の葉に宿れる露の大きくも小さくもあり消ゆる時まで
14日	☆	みちのくの桜の蕾弾けたる此の日此の地に来合わせしなり
15日	☆	電線の鳥も地上の酔漢も得難き自由求め彷徨う
16日		咲きかけのしだれ桜は風に揺れファインダーより消えては戻る
17日	☆	背丈ほどといふ老婆あり菜の花は我が腰ほどの高さなれども
18日		葉桜となりて見おろす地上には十文字なるロケットの咲く
19日	☆	一瞬の輝きはただ一筋の頬に絡める蜘蛛の糸なりき
20日	☆	ローマではコンクラーベの終わりしとカーラジオ告ぐ春雨の中
21日		田園と都市とを分くる関門は郊外の駅のエスカレーター
22日	☆	満水の堰の水面（みなも）に波高く最後の花も散り果てにけり
23日		八重と咲き実のなきよりも山吹の名を知らずして見しぞ悲しき
24日	☆	新緑もただ繰り返す幻か果て見定めぬデジャヴゥのごと
25日	☆	不器用に昇る雲雀は燕（つばくろ）の如何に飛ぶともただ空を見る
26日		一両目に席を取りたり昨日の事故を少しく思ひ出せども
27日		近寄ればさっと飛び立つ椋鳥の鳴き声のみのすぐ傍にあり
28日		流るとも見えぬ川面は日を浴びて岸辺の緑ただ映しをり
29日	☆	平らかに空を映して満ち来たる水悦ぶか田に蛙（かはづ）鳴く
30日	☆	人の世のよしなしごとは人のみの事と放ちて咲き満つる花

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