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　 平成二十八年 霜月 （十一月） の歌　
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1日  冷え冷えとしたる昼間に板東の木々は緑のままにて聳ゆ
2日☆ 雲薄れ高架の北を見渡せば思ひのほかに筑波嶺ぞ小さき
3日☆ 牛久沼の丘の起伏の彼方なる夕焼けが水に吸ひ取られ行く
4日☆ 霜月の枯れ田の彼方陽は落ちて雲の腹さえ暗くなりゆく
5日  iPhone の ７Plus の一回り広がる画面覗き込む吾
6日  桃色と白の小さき花咲かせヒメツルソバは地を覆ひたり
7日☆ 青空の地平を赤紫に染め冬を立てたる陽は沈み行く
8日  降りもせず晴るるわけでもなき空に中途半端の秋風が吹く
9日  日暮れては冷たき風の強まりて信州までも飛べと吹き抜く
10日☆ 信州の北に望める山並みの僅かに白き頂あたり
11日  夕闇の向こう岸なる県道にヘッドライトが通り過ぎゆく
12日☆ 我ありと人に知らするためにのみもぐらは塚を作り行きしか
13日  日の出づる一歩手前の世の中の冷え尽くしたる朝焼けの空
14日  夜の更けてエスプレッソに湯気は立つスーパームーンの雲に隠れて
15日  平らなる関東平野の 「山路」 にて大盛りかき揚げせいろを食す
16日☆ 夕暮れの冬の風受け自転車を漕げば吹き出す汗もなきなり
17日☆ 木枯らしの吹き止みて漕ぐ自転車のタイヤの音の耳に届けり
18日☆ 乗客の少なきバスのロボットの如き車内に冬の陽は射す
19日☆ 冬の雨一日降りて折りたたみ傘は幾度も濡れては乾く
20日☆ 雲海の岸辺の如き山の端の冷気を割きて陽は昇りくる
21日☆ コンバインの深きわだちに冬の雨溜まり刈田の窓となりたり
22日☆ 映り込む陽は細かなる波にくだけ沼は静かに暮れて行くなり
23日☆ 川に立ち水中の魚追ひながら冬支度する白鷺のあり
24日☆ 初雪は自ら白きのみならず世界を白と黒のみに染む
25日 ☆ 日暮れての電柱の下に解け残る昨日の雪の汚れぬ白さ
26日  寒空に中途半端に飾られし駅前広場のクリスマスツリー
27日☆ 里山に低くたなびく白きもの霧ともつかず雲ともつかず
28日  愛宕なる山より遙かひむがしの霞ヶ浦より鹿嶋まで見ゆ
29日  冬用の手袋をして自転車を漕ぎて冷たき木枯らしを知る
30日☆ 県道の縁石際に散り積もる落ち葉を時に震はする風
　
　
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