Wakalog Top へ （検索サイトからおいでの方はクリックしてご覧ください）
　　　
　 平成二十七年 弥生 （三月） の歌　
それぞれの和歌をクリックすると、日記もご覧になれます。
(☆印= 日記オススメ）
 　
<< 前月へ バックナンバー 翌月へ >>
　
1日   春先の慣はしとてか目薬と花粉の力比べさすなり
2日 ☆ 十分に明るさ残る天空の風を通して宵月白し
3日   弥生なる寒の戻りの北風に揺るる川面に鴨は浮かべり
4日 ☆ 裸なる木々は川面の日に映りいざ芽吹かむと備へゐるなり
5日   少しずつ荷物を運ぶつもりらし次女の家移り春風の中
6日   杉花粉飛散のピーク越ゆるまで初めて薬試しゐるなり
7日 ☆ 川向こう県道沿いに灯がともり寒の戻りの日は暮れていく
8日 ☆ 肉厚の紅梅咲ける細き枝に夜来の雨の滴光れり
9日 ☆ 始発駅ぽつんと残る婦人傘に触るる人もなく電車発ちたり
10日   この年も相変はらずの遅咲きの梅の蕾の割れかかりたり
11日   あのなゐより四年は経ちぬ西の地平の赤く染まりて
12日   黒雲と空の境目見上げゐるショッピングセンターの駐車場の上
13日 ☆ 遅咲きの我が庭の梅この朝につひに一輪咲き初めにけり
14日   三月は寒の戻りのままに来て沈む夕日も冴え冴えと見ゆ
15日 ☆ 天に向かい伸びたる枝の細けれど和菓子の如く肉厚の紅梅
16日   一週間自転車に乗ることもなく過ごしてヘルメット眺めゐるなり
17日 ☆ 満開の白梅の影柔らかく手の平一杯の春は来たれり
18日   あのなゐの春に咲きたるおがたまの真白き花のこの春も咲く
19日 ☆ 名人の落語家逝きしその夜半に七味唐辛子じつとみてをり
20日   駅前の風の名残に縮まりて何の幟か判らざる旗
21日 ☆ 鶯の初鳴きはほうほけきやうと聞こえはせねど春を告げをり
22日   春彼岸神田のビジネスホテルより見下ろす路地に昭和の風吹く
23日   大阪で手づから焼きてソースかけお好み焼きといふものを食ふ
24日   三月の寒の戻りの風の中赤き椿の花よく似合ふ
25日   吹く風は冷たき冬の名残みせ梅干し樽に響き渡れり
26日   郊外のビール工場のケース置き場は小さき街の如く日に映ゆ
27日 ☆ 川渡る風も冷たきものならず日を映したる水のぬくもり
28日   春の夜にシエラカップでコーヒーを飲めば雪解けの林の香り
29日   桃の木に桃の花咲く三月の空は六時を過ぎて明るし
30日 ☆ 遥かなる四条河原に残りたる闇に光れる汝桜よ
31日 ☆ 加茂川の春爛漫の片隅で京都の闇の一本桜
　
　
<< 前月へ バックナンバー 翌月へ >>