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平成二十三年 神無月 （十月） の歌
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(☆印= 日記オススメ）
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1日
☆
秋なれば燃ゆる赤にはなかりせど明日の好き日を見する夕焼け
2日
☆
平らなる川面に映る雲の色の暮れてゆくなり平らなるまま
3日
☆
病床の父にあの世の母来たり寄り添うごとき二重の虹よ
4日
☆
根の下に何を眠らせかくも紅く曼珠沙華咲く彼岸過ぎ来て
5日
☆
野分遠く去りて残れる泥水の跡より下で遊ぶ白鷺
6日
☆
秋風に光る薄の軽ろければ揺らして楽し重たきことも
7日
さざ波の川面に刻む陰影に秋のすべてのありとぞ見ゆる
8日
☆
いかほどに直角なして交はれど理に落ちぬなり秋の夜のビル
9日
☆
徒らに塾して落つる柿の実の三日経ちても朽ちぬ赤さよ
10日
黄昏をみて秋なりと思はるる日の多きこの年の幸い
11日
猫のゐぬ家にはただの風に揺るるゑのころぐさでしかなき草よ
12日
僅かにも赤みを帯びて山肌は白き浮き雲支へゐたりき
13日
テーブルの蜜柑の蒼き宵の口ＬＥＤの真直ぐの光
14日
☆
潔白の愛は或ひは足許の真白き花の形なるらむ
15日
☆
秋桜の咲くただ中に佇めば宇宙に一人坐する
心地す
16日
☆
わが父の光のうちに旅立てば悲しまずただ手を合はすのみ
17日
☆
ふるさとに生きたる父を見送りてふるさとの山紅く萌え初む
18日
喪中てふ電光サイン立ちたれば三々五々の焼香の人
19日
☆
花の中で父眠りゐる花の香を上回る香の匂ひ漂ひ
20日
☆
大いなる父を送らむ諸人と集ひ大いなるみたま送らむ
21日
☆
人の笑顔見るを喜ぶ父なりせば浄土にてもまた菩薩なるらむ
22日
こうこうと鳴きて飛び行く白鳥の姿を追ひぬ故郷の空に
23日
栃の実の如き風味を舌の奥に漂わせたり緑米の餅
24日
☆
庄内は秋にてありぬ戻りくれば筑波の秋も深まりてあり
25日
☆
川岸に身を縮め咲く様となればセイタカアワダチソウも憎めず
26日
☆
県道をヘッドライトの列は行く辿る家路のあるぞ嬉しき
27日
人影も白鷺も見ぬ刈田には深まる秋の風通り過ぐ
28日
貴船より鞍馬にかけて歩きしを思ひ出すなり貴船菊見て
29日
☆
電車来たり人吐き出してまた飲み込みついと去りゆくターミナル駅
30日
☆
夕暮れに雨は来たりき対岸のからす静まりかはづ鳴き初む
31日
如何様に改装すれど見るからにあか抜けぬのが上野駅なり ≫
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