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| 平成二十五年 神無月 （十月） の歌 | ||
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| 1日 | ☆ | 夕暮れの空を流るる秋雲の切れ間に見ゆる時の移ろひ |
| 2日 | ☆ | 野の露は雲居の色に染まりゐて草の緑の透きて浮かばず |
| 3日 | 哀しきは己がブログにコメントしスパムとさるる長き秋の夜 | |
| 4日 | いつになく冷え込む夜半は暖かきうどんで滲む心地良き汗 | |
| 5日 | ☆ | 雨に濡れ底なし沼の深みまで街の灯りを映す夜道よ |
| 6日 | ☆ | 飛び跳ぬる鯉の痕跡幾つもの同心円で広がる波紋 |
| 7日 | 稲刈りの終れば元の川幅に戻り静かに行く小貝川 | |
| 8日 | 銀色に光るボディに熱き湯を満たし三十年（みそとせ）生くるテルモス | |
| 9日 | ☆ | 真夏日の今日名ばかりの十月の空に黒雲疾く流れ行く |
| 10日 | ☆ | |
| 11日 | ☆ | 赤き実を激しく揺らし吹く風のなま暖かさ秋ならぬ秋 |
| 12日 | ☆ | 真夏日の日射しの中で薄揺れセイタカアワダチソウの色づく |
| 13日 | 青空に白く鎮まる半月の夜半に至りて黄味を増したり | |
| 14日 | ☆ | 庄内の刈田の彼方青空を背に鳥海は広々と立つ |
| 15日 | 十年に一度の強さ保ちつつ野分近づく黒潮の上 | |
| 16日 | 讃岐なる満濃池は山中に雲居を映し広がりゐたり | |
| 17日 | 金刀比羅の木々を透かして見下ろせば平野と海の青く広がる | |
| 18日 | 暑き日と肌寒き日の繰り返し秋ともしれぬ秋の甘酒 | |
| 19日 | ☆ | 薄揺れ最期の木槿咲きかけて遂に咲かぬか風の冷たさ |
| 20日 | ☆ | 秋深み草の茂れるわが庭にただ一匹のこほろぎぞ鳴く |
| 21日 | ☆ | 朝霧の薄らぎ行けば太陽は思いの外の高みにて照る |
| 22日 | ☆ | 快速で秋の日は落ちこの里に各駅停車の闇は広がる |
| 23日 | ☆ | 川土手を覆ひゐたりき夏草も刈られ見上ぐる空の秋色 |
| 24日 | ☆ | 遙かなる海に野分の迫る頃木槿は全て咲き尽くしたり |
| 25日 | ☆ | 列島の空気はさらに入れ替わり野分の雨を夜は受けむとす |
| 26日 | 野分去り雲の切れ間に早々と晩秋色の青空を見る | |
| 27日 | ☆ | 川土手に木と家々の濃き影の映り刻まれ秋は過ぎゆく |
| 28日 | ☆ | うねうねと薄く波打つ筋雲の端より端に伸びる秋空 |
| 29日 | 夕暮れの携帯電話の基地局を飛び交う電波も川に映るか | |
| 30日 | ☆ | 見上ぐれば長く続かぬ秋空と追ひ立てらるる心地する頃 |
| 31日 | ☆ | 白鷺は濁れる川に真白なる影を映して秋空深し |
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