和歌ログ - 平成十七年師走（十二月）の歌

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	平成十七年師走（十二月）の歌
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師走二日は「和歌ログ記念日」
1日	☆	旧盆に歩きし鞍馬の風はめぐり師走の土手に咲く貴船菊
2日		縮緬の如く散りたる銀杏の葉師走二日は和歌ログ記念日
3日		久方の小春日和にのどけくも土木工事は進みゐるらし
4日	☆	山茶花の散る花びらを薄紅の帯の如くに止め置く雨
5日	☆	当代にふと先代の影を見て我今にある芝居見物
6日		今日の日もまた此の年も暮れつ方見る間に動く上限の月
7日	☆	改札の結界越しに雪の舞ふ異界の様を見る上野駅
8日		関東の晴れは故郷の地吹雪と気恥ずかしくも熱く説く我
9日	☆	はかなくも「我」と呼ぶべきドメインを越えて一羽の鵜は飛び去りぬ
10日	☆	陸橋の坂越しに見る冬の陽の沈み行くなり午後三時半
11日	☆	坂東の冬の家路を日の暮るる速さで辿るヘッドライトよ
12日	☆	真ん丸く猫眠りをり百舌鳥の鳴く窓の向かうを別世界とし
13日	☆	柿の実の赤きを冬の蒼天に溶かし込むごと鳥は啄ばむ
14日	☆	坂東の西北の山越え来たり縁を夕日に燃やす雪雲
15日	☆	冬の日の思ひがけなき青空に越後の山の襞際立てり
16日	☆	着膨れて頬赤き子ら東京のアクセントにて雪道を行く
17日		押入れや納戸の奥に潜みゐる我が家の歴史発掘の旅
18日		ありがたし屋移りの日の吹雪なる予報は外れ青空の見ゆ
19日		雪降らす分厚き雲の切れ間より見る青空のその青さをや
20日	☆	引越しの終わりたる夜の雪明り慣れぬ角度で街眺めをり
21日	☆	黒雲の切れ間を映す荒海の水平線は長く伸びたり
22日		故郷に雪を残して風のみを連れ来たるらむ今朝の寒さよ
23日	☆	清かなる風は渡りてひもろぎの葉の輝ける寿ぎの日よ
24日	☆	先駆けて聖夜を祝ふ悦びに濁りをささず西へ渡さむ
25日	☆	長々き時も過ぐれば冬枯れの川も流るる如きものとは
26日	☆	今日の風に雪加はれる猛吹雪庄内の地はそを耐ふるなり
27日	☆	地吹雪の白き哀しみ忍ぶ人ありて筑波のただ蒼き空
28日		皮のみとなりたる柿の枝にありついばみをりし鳥はいづこに
29日		ブラックとカラーのインクのカートリッジ余分に備へ賀状印刷
30日	☆	世の中の大がかりなる音止みて日溜まりにゐる年の瀬の猫
31日	☆	軽々とした命なり藁屑の川面に浮くに休む鶺鴒

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